今回の豪雨災害では、
川が氾濫し、堤防が決壊し、広範囲が浸水した。
今回の災害は、気象警報、気象情報、特別警報などなど・・・
出るべき情報は、適切に出たと言っても間違えではないでしょう。
(自治体の避難情報が適切であったかは不問)
今回出た情報の中でも、
あまり世の中に浸透していない情報がある。
「指定河川洪水予報」だ。
この情報は、気象警報の洪水警報とは別である。
気象庁のHPには「指定河川洪水予報」について、こう説明があります。
『河川の増水やはん濫などに対する水防活動の判断や住民の避難行動の参考となるように、気象庁は国土交通省または都道府県の機関と共同して、あらかじめ指定した河川について、区間を決めて水位または流量を示した洪水の予報を行っています。これを「指定河川洪水予報」と呼んでいます。 』
今回、鬼怒川が越水して破堤したが
この指定河川洪水予報が鬼怒川に、しっかり出されていた。
はん濫危険情報 平成27年09月10日00時15分 はん濫危険水位
はん濫発生情報 平成27年09月10日06時30分 越水
はん濫発生情報 平成27年09月10日08時00分 越水
はん濫発生情報 平成27年09月10日13時20分 はん濫
はん濫発生情報 平成27年09月11日06時40分 はん濫
指定河川洪水予報には、以下のようなものがある。
====================================
はん濫発生情報 はん濫の発生(レベル5)
→はん濫が発生
はん濫危険情報 はん濫危険水位(レベル4)に到達
→いつはん濫してもおかしくない状態
はん濫警戒情報 はん濫危険水位(レベル4)に到達が見込
避難判断水位(レベル3)に到達、さらに水位の上昇
→避難準備などのはん濫発生に対する警戒を求める段階
はん濫注意情報 はん濫注意水位(レベル2)に到達、さらに水位の上昇
→はん濫の発生に対する注意を求める段階
====================================
さて、これを読んだだけで理解できるだろうか。
テレビでも積極的に放送されている訳ではないので
知らない人がいても無理はないだろう。
気象関係者でもしっかり説明できるか、怪しいところである。
確かに、洪水予報は、用語も難しいし、わかりにくい。
危険と警戒がどっちが危険度が高いのかもわかりづらいかもしれない。
そこで、レベルが付記されている。ちなみに5が最も危険。
今回の鬼怒川の洪水を見てもわかるように
今回は情報は的確に発表されているので
これらの情報をつかんでいれば、川の状態はある程度わかり
自治体が発表する避難情報に依存することなく、
各々の判断で避難できるかもしれない。
また、洪水予報が出ていなくても
川の水位自体は一般に公開されている。
「川の防災情報」
http://www.river.go.jp/03/nrpc0301g.html
自分が住んでいるところの近くに川があれば
公開されている情報を元に、
自分が避難すべきか否かを判断できる。
自分の住んでいるところが
今どのような状態なのかを知る上で、
大雨の土砂災害と違って、
川の増水・はん濫を身をもって感じるのは難しい。
土砂災害は、自分の住んでいるところで
大雨が降っていれば、危険を察知できるだろうが
川の増水・はん濫は、川の流域で
大雨になっているかどうかか鍵になる。
従って、自分の感覚だけでは危険を察知するのは難しく
川の情報を自らで集める必要がある。
まずもって、自分が住んでいるところには
どんな地形特性があって、どんな危険をはらんでいるのかを
知っておくことが何よりも必要。
自分の家の近くに裏山があるとか、川があるとか
災害を引き起こすようなものがどこかにないか把握し
その上で災害が起こりそうなときは、
自分で5感をはたらかせて、気象状況をつかみ
加えて、テレビやネットで情報を得て、
誰かの指示を待つのではなく、
自分で避難(家の外へ逃げることだけが避難ではない)決断を
してほしいと思う。
よく言われることだが、「自分だけは大丈夫」ではない。
これだけ情報があふれた昨今なのだから、
自分に必要な情報は自分で得て、自分の安全は自分で確保する。
その上で、いまある情報が、自分にとってどう役立つかを
災害が起こる前に、確認しておくことが重要である。
それから、今回の豪雨被害をきっかけにして
行政は今回の情報形態についても適切であったか、
検証することになるであろうが
既存の情報は過多と言ってもいいほどに、十分に備わっている。
新たな情報を設けて、これ以上、情報を増やすのではなく
今ある情報の有効性を広めること努力するよう期待する。

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