幼少期から、筆者はしばしば「向上心がない」「ある程度の所まで達すると満足してしまう」と言われたことがあった。
確かにそうである。
ある程度の所まで達すると満足してしまい、1位になろうという気概がない。つまり、嫉妬心というものがあまりなかった。
筆者には絵心や文才がなかった。それでも世界観を描きたくなった時期があった。
それでいて、昔から地図や鉄道が好きだった。
絵画や小説は上手くないので、人と勝負することはできない。
しかし「地図」なら描ける。これも想像地図描画の原動力の1つであったに違いない。
2003〜2007年頃は、ずいぶんと自由気ままに描いていた。この頃は、まさに「我が道を往く」という感じであった。
しかし、特に2009年以降になってからは、実際の土地の地形や、他の人の架空鉄道と比べたりして、現実的であるかどうかを検討するような習慣が根付いてきた。
そうして、地図に極限までのリアリティを追求し、架空地図が芸術であることを強く意識するようになった今、単に我が道を往くのではなく、他のものと比べるようになってきた。
そして、時に他の作者の作風に嫉妬し、それに負けじとすることもするようになってきた。「世界一の架空地図」を目指していることもまた事実である。
自分の「我が道を往く」を極めた結果、紆余曲折を経て、その方面では他者と競うことになった。向上心がないと言われた筆者も、本当に好きなことなら、人と競争することを厭わなかったというしかない。
今でこそ、2003〜2007年頃に描いた領域は地図に現実感がなく、描き直すべきと言う結論に達している。つまり、「我が道を往きた地図」の部分は修正される運命にある。

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