想像地図は、城栄国から国境を越えて一部の周辺国も描く予定である。
そこで問題になるのが、周辺国の地名である。
城栄国の言語は城栄語だが、ほんの一部の単語の用法の違いを除けば城栄語は日本語と同じである。従って、城栄国の地名は日本風に創作すれば良いし、今までそうしてきた。
日本人には、日本風の地名については「これは地名としてあり得そう」「これは地名としてはあり得なさそう」という感覚がある。
例えば、「マルタ(丸田)」や「タマル(田丸)」はあり得ても「ルマタ」は変であると感じる。この感覚は日本語の言語感覚の一つであり、「地名感覚」とでも呼ぶべきだろう。
ちなみに、漢字を適当に組み合わせても必ずしも「地名っぽく」なるとは限らないことは、この文章の中にある漢字を適当に組み合わせて地名を作ろうとしてみたら分かるだろう。
しかし、「放出(はなてん)」や「十八女(さかり)」など、日本語の地名の法則性を打ち破るような地名は実在する。逆に言えば、「地名感覚を外れた地名」が「珍地名」だろう。
それでは、周辺国の場合はどうだろうか。
その国の言語が架空言語であれば、「地名感覚」自体もゼロから作り上げてしまえば問題は起こらない。問題となるのは、実在言語と同じ言語の地域を想定する場合である。
城栄国の周辺国の内、描画対象となっているのは、「Hiktan国」と「散萊」である。
Hiktan国の言語「Hiktan語」は架空言語なので、地名感覚は自分で作り上げることができる。
しかし、散萊は台湾をモデルとする地域なので、「散萊語」は台湾語とほぼ同じ言語であると想定している。従って、散萊の地名が「地名らしさをもったもの」であるかどうかを判定するには、「台湾の地名感覚」がなければならない。だが、残念ながら筆者は台湾の地名感覚がない。そこでどうすべきかが決まらず、散萊の地図の描画は足踏み状態になってしまった。

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